こんにちは!コウです!
毎日のように筋トレに励んでいても、それだけでは筋肉は大きくなったり、強くなったりすることはありません
自動車が走り続けるには外部からエネルギーを補給しなければならないように、私たちも運動によってエネルギーを消費すれば、外部からエネルギー補給しなければなりません
筋肉を大きく、強くするためには、正しい理論にもとづいた「運動」、そして「栄養摂取」という両輪を揃えることが大切です
バランスのとれた質の高い栄養とは何か?
身体に取り入れた栄養はどのようなプロセスを辿って筋肉を作り、それを強く、大きくさせていくのか?
どの栄養を、どれくらいの量で、かつどのようなタイミングで摂れば、筋トレの効果は最大化するのか?
今回は最新のエビデンスをもとに、正しい栄養摂取の理論やメカニズムを紐解いていきます
よろしくお願いします!
栄養の話に入る前に、まずは生物学や栄養学の面から私たちの身体の仕組みを見ていきましょう
人間の身体は約60%が水分で構成されています
そのほか、脂肪やミネラルなどがありますが、水分の次に多いのが、全体の約20%を占めるタンパク質です
タンパク質は心臓や肺といった臓器をはじめ、皮膚や爪、髪の毛、ホルモン、血液、免疫成分など、身体を構成する様々な物質を作るための原料となっています
筋肉の最小単位である筋原線維も、アクチンとミオシンという筋タンパク質からできています
つまり、筋肉を増やすことは、筋タンパク質を増やすことと同義なのです
タンパク質は、「アミノ酸」と呼ばれる分子が数十~数万個単位で組み合わさってできています
地球上のあらゆる植物や動物も、アミノ酸が作り出す無数のタンパク質からできており、人間の身体を構成する数十万種類のタンパク質もここに含まれます
アミノ酸は基本構造としてアミノ基(NH₂)、カルボキシル基(COOH)、水素(H)、側鎖(R)で構成されています
この側鎖に様々な分子が繋がることで、アミノ酸は多種多様な機能を発揮するようになります
自然界には数百種類のアミノ酸が存在していますが、タンパク質の材料となるのはわずか20種類のアミノ酸です
20種類のアミノ酸は、9種類の「必須アミノ酸」と、11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます
必須アミノ酸はアミノ酸体内で作り出すことができないため、食事などで摂取しなければなりません
非必須アミノ酸は、バランスの摂れた食事で栄養補給している限り、体内で作り出すことができます
タンパク質を作る際、アミノ酸は無秩序に組み合わさっているわけではありません
DNAの塩基配列(遺伝子情報)には、タンパク質の合成方法を示す設計図(アミノ酸配列情報)が記されています
この設計図をもとに、組み合わせるアミノ酸の情報や数、並び順が決まり、臓器や皮膚など、目的に合わせたタンパク質が作られます
また、アミノ酸が2個以上結合した状態を「ペプチド」と呼びます
アミノ酸が2個結合すると「ジペプチド」、3個では「トリペプチド」、10個程度では「オリゴペプチド」、それ以上では「ポリペプチド」となります
ペプチドとタンパク質の間に明確な線引きはありませんが、一般的にアミノ酸が50~100個以上結合したものをタンパク質と呼んでいます
体内に入ったタンパク質はこの結合とは真逆の流れ、つまりタンパク質をアミノ酸レベルまで分解したうえで、もう一度合成するというプロセスを経ていくことになります
例えば、ステーキ(タンパク質)を食べた場合、胃に入ると胃酸によって変性(やわらかく)され、粘膜細胞から分泌された消化酵素(ペプシン)によってポリペプチドに分解されます
胃の消化を終えると、次に十二指腸では膵液中の分解酵素によってオリゴペプチドに分解されますす
その後は小腸に入り、消化酵素によって単体のアミノ酸にまで分解され、小腸の粘膜や上皮細胞から吸収されます
小腸で吸収されたアミノ酸は、最終的に毛細血管を伝わって門脈(肝臓に流入する太い血管)に入り、肝臓へと集められます
そしてそこから、アミノ酸の新たな旅が始まります
アミノ酸は肝臓からすぐ使うは血液中は放出されて、それ以外はアミノ酸プールに貯蔵されます
貯蔵といっても、銀行の金庫のように特定の貯蔵庫があるわけではなく、血液中や組織内に「アミノ酸が遊離した状態」にあることを指します
十分な量のタンパク質を摂取すると、血液中のアミノ酸濃度が上昇し、体内がアミノ酸リッチの状態になります
体内がアミノ酸リッチの状態になると、筋細胞はDNAの塩基配列から写し取った設計図に従ってアミノ酸を結合し、アクチンやミオシンといった筋タンパク質を合成していきます
つまり、体内に入ったタンパク質は、消化・分解→吸収→貯蔵→合成という流れを経て筋肉へと作り替えられていくわけです
しかし、単純にタンパク質を摂取しているだけでは、現状の筋肉量を維持する程度にしか筋タンパク質は合成されません
合成を促進し、筋肉を大きくするためには、食事による栄養摂取とともに、運動がもたらす刺激によって「筋タンパク質の合成感度」を高めていかなければなりません
そのための最適な運動が筋力トレーニングなのです
近年、アミノ酸の安定同位体を用いる研究手法が確立し、アミノ酸の合成・分解を詳しく調べる手法が生み出されたことで、次々と新たな知見が報告されています
現代のスポーツ科学やスポーツ栄養学では「筋トレだけでは筋肥大は生じない」こと、「筋トレ後にタンパク質を摂取する」ことが常識として定着しつつあります
その一つの根拠となったのが、アメリカのシュライナーズ・バーンズ研究所のビオロらの研究報告です
ビオロらは、①空腹のとき、②タンパク質を摂取したとき、③空腹状態で筋トレをしたとき、④筋トレ後にタンパク質を摂取したとき、の4パターンで、筋タンパク質の合成量と分解量を計測しました
その結果、「空腹のとき」は筋タンパク質の分解量が増加し、「タンパク質を摂取する」と合成量が増加しました
空腹になると体内のアミノ酸濃度が不足し、それを補うために筋タンパク質を分解してアミノ酸が作り出されます
そうなれば当然、筋肥大は起こりにくくなります
ここでタンパク質を摂取すると、体内がアミノ酸リッチの状態に戻り、筋タンパク質の合成量が増加していくことになります
「空腹状態で筋トレをしたとき」は、筋タンパク質の合成量は増加しませんでした
つまり、筋トレによって筋タンパク質の合成感度を高めても、体内のアミノ酸が不足した状態では合成量は高まらないわけです
「筋トレ後にタンパク質を摂取したとき」は、筋タンパク質の合成量が顕著に増加しています
この結果は、筋トレにより筋タンパク質の合成感度が上昇したタイミングでタンパク質を摂取すれば、合成量が増大し、筋肥大が促進できることを示唆しています
現状の筋肉量を維持するだけなら、適度な運動と食事だけで十分です
しかし、筋肥大を目指す場合は、筋トレ後のタンパク質摂取が重要になるということです
筋トレをする→筋タンパク質の合成感度が高まる→タンパク質を摂取する→筋タンパク質の合成が促進される→筋肥大が生じる
筋肥大を目指すのなら、この一連のサイクルを回し続けることが大切になるのです
今回は筋トレとタンパク質の関係について勉強しました
タンパク質の摂取から筋肥大までの流れは↑のようになっています
そして筋肥大を目指す場合は、筋トレ後のタンパク質摂取が重要になります!
筋トレをする→筋タンパク質の合成感度が高まる→タンパク質を摂取する→筋タンパク質の合成が促進される→筋肥大が生じる
この流れも抑えておきましょう!
それでは読んでくれたみなさん、ありがとうございました!!