こんにちは!Nです!
ひとくちに筋トレと言っても、目的によって取り組むべきトレーニングはまったく異なります
見栄えのよいマッチョな身体を手に入れたいのか、スポーツを楽しむための身体を手に入れたいのか?
筋トレを始めるにあたり、まず行わなければならないことは、「何のために筋トレをするのか?」を自分に問い、目的や目指す姿を明確にすることです!
今回は筋肉を大きくしたい人に向けて、筋肥大の原理を紹介します!
よろしくお願いします!!
近年、スポーツ科学の分野には分子生物学や生体力学、脳科学など、他分野の最新研究が導入されるようになり、従来分からなかった筋肥大や筋力増強のメカニズムが解明されつつあります
まずは筋肥大のルールを見ていきましょう!
筋肉は、数千から数十万という筋線維が束になって形づくられています
筋肥大は筋線維の一本一本を肥大させていくことで生じます
筋線維は一つの筋細胞が細く長くなったもので、アクチンとミオシンといった筋タンパク質からできており、筋線維の肥大は筋タンパク質の合成によってもたらされています
筋タンパク質は24時間、常に「合成」と「分解」を繰り返しています
普段、私たちの身体は食事などで十分な栄養をとることで、筋タンパク質の合成と分解が均一に保たれ、現状の筋肉量を維持することができます
したがって、食事にプラスしてトレーニングを行えば、筋タンパク質の「合成」が「分解」を上回るようになり、筋繊維は肥大していくことになります
どうすれば、私たちの身体は積極的に筋タンパク質を合成してくれるでしょうか?
そのカギは「哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)」です
mTORは細胞の増殖や分化、自食作用などをコントロールする重要な役割を担っています
例えば、トレーニングでダンベルを身体に引き寄せるようにして持ち上げるとき、上腕二頭筋(上腕の前側)の一本一本の筋繊維が収縮し、大きな力が発揮されます
この筋線維の収縮が、筋タンパク質の合成を促進させるためのスイッチになります
筋線維が収縮しようとすると、まずは筋線維内にある筋小胞体から「カルシウムイオン」が放出されます
次に、筋線維の収縮そのものが刺激となり、細胞膜を構成する「ホスファチジン酸」が増加します
さらに、細胞の成長を調整する「インスリン様成長因子」の分泌が増加します
これら3つの因子によって活性化されるのがmTORです
3つの因子により活性化されたmTORは、筋タンパク質の合成を促進させる「P70S6キナーゼ」を活性化し、一方で合成を抑制する「4EBP‐1」を不活性化します
これら一連のメカニズムがあるからこそ、トレーニングを通じて筋タンパク質の合成が促進され、筋線維が肥大化し、筋肉が太くなっていくのです
上腕二頭筋の筋線維は、平均勤続21万本あると言われています
単純に考えれば、筋肥大の効果を最大化させるためには、21万本すべてを収縮させれば良いわけです
ならば、すべての筋線維を余すところなく収縮させるためには、どうすれば良いのでしょう?
ここで登場するのが「サイズの原理」です
1965年、ハーバード大学のヘンネマンらは、筋肉は大きな努力が必要になると、発揮する力の大きさに応じて小さな運動単位から大きな運動単位を順番に動員させていく、という「サイズの原理」を提唱しました
この原理を理解するために、筋線維を収縮させる「運動単位」の仕組みから説明します
脊髄から伸びる1つの運動神経はいくつかの筋線維とつながり、その収縮をコントロールしています
このひと繋がりのユニットを「運動単位」と言います
運動単位は1つの運動神経が数十本の筋線維を支配する「小さな運動単位」と、数百本から数千本の筋線維を支配する「大きな運動単位」に分けられます
この大小の運動単位は、全身の筋肉に様々な割合で分布しています
大小の運動単位は、発揮する力の強度に応じて収縮させる運動単位を変えています
例えば、低強度のトレーニングであれば、小さな運動単位が優先的に動員され、強度を高めていくと大きな運動単位が動員されるようになり、使われる筋線維の数も増えていきます
筋線維が収縮する数は、発揮する力の強度に応じて異なるサイズの運動単位を使い分ける「サイズの原理」にもとづいているのです
収縮する筋線維の数が発揮する力の強度によって変わるのであれば、高強度トレーニングを行うことが、すべての筋繊維をまんべんなく収縮させるための最も効果的な方法だと考えられます
2009年、アメリカスポーツ医学会は、「筋肥大には高強度トレーニングが有効である」という公式声明を発表しています
具体的には「トレーニングによる筋肥大の効果を高めるためには、1RMの70%以上の高強度で、初心者は8~12回、経験者は1~12回の回数を行うことを推薦する」としています
このアメリカスポーツ医学会の公式声明が筋肥大における“常識”となり、多くのメディアやトレーナーが高強度トレーニングを勧めるようになったのです
しかし、身体への負荷が大きい高強度トレーニングは筋トレの初心者や未経験者、高齢者にとっては負荷が大きく、簡単ではありません
また当然、辛さや苦しさを伴うため、筋トレを長く続けていくためのモチベーションにも影響します
これまでは、サイズの原理に基づき、低強度のトレーニングでは、小さな運動単位の動員にとどまり大きな運動単位まで動員できないため、十分な筋肥大の効果が得られないと考えられてきました
ところが近年、低強度のトレーニングでも「ある条件」を満たせば、小さな運動単位だけでなく大きな運動単位も動員でき、高強度のそれと同等の効果を得られることが分かってきたのです
実は公式声明が出されたのと同じ頃、アミノ酸のトレーサーを用いた新たな測定技術が研究に応用され、筋タンパク質の合成作用を直接的に測定できるようになりました
・低強度のトレーニングでも、「総負荷量」を高めることで高強度トレーニングと同等の筋肥大の効果が期待できる
・総負荷量は、トレーニングの強度(重量)×回数×セット数によって決まる
この報告により、筋トレの“常識”はがらりと変わってしまったのです
現在はさらに研究が進み、筋肥大の効果を最大化するための筋トレ方程式が導き出されます
筋肥大の効果=総負荷量(強度×回数×セット数)×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×運動スピード×筋収縮の様式×週の頻度
今回は筋肉を大きくする方程式を勉強しました
・食事にプラスしてトレーニングを行えば、筋タンパク質の合成が分解を上回り、筋線維が肥大していく
・低強度のトレーニングでも、「総負荷量」を高めることで高強度トレーニングと同等の筋肥大の効果が期待できる
・総負荷量は、トレーニングの強度(重量)×回数×セット数によって決まる
筋肥大の効果=総負荷量(強度×回数×セット数)×セット間の休憩時間×関節を動かす範囲×運動スピード×筋収縮の様式×週の頻度
かなりボリュームがあったかもしれませんね
次回は、筋肥大の効果を最大化する「筋トレ方程式」の各要素を、スポーツ科学などの最新の知見からひもといていきます
それでは読んでくれたみなさん、ありがとうございました!!